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運命_1

side Ω 今の俺は世界最強。………の気分。 だって、だってさ! 先日の誕生日デートで遂に篠原が俺の事見てくれるって言ってくれたんだ。もう本っ当に幸せな気分。 「えへへ」 「………何一人で笑ってんだ?」 気持ち悪いぞ、と失礼な篠原の言葉も今は全然痛くも痒くもない。 「ふふーん」 「………何だよ、その謎の笑いは」 今日だっていつもの大学、いつもの講義、いつもの日常。 それなのにどれもキラキラして見える。 何て、幸せなんだ! 「篠原ーぁ、」 「ん?」 帰り支度をする篠原をジッと見つめる。 「へへ、好き」 言い慣れた言葉。 でも最近少し変わった事もある。 動きを止めた篠原は俺の方に顔を向け、笑ってくれるようになった。 「さんきゅ」 向き合うと言ってくれた。 とても嬉しかった。すごく嬉しかった。 でもこれだけは、ちょっと嬉しくない。 今まで茶化されてきた分、受け止められると気恥ずかしくなる。 こんなふうに笑われたら俺はどんな顔をすればいいのか分かんない。 「…………うん」 だから結局目を逸らしてしまう。 「そうだ!篠原に買ってもらったクッキーにさ、ほらこれ!このシール入ってたんだ」 「あ、不細工なウサギ」 「不細工じゃないし、可愛い!」 「そうかぁ?」 俺の見せたシールにしかめっ面を向けて篠原は改めて不細工だと言った。 「可愛い!これ俺のお宝にするんだから侮辱するな」 「お宝って……」 「初デート記念。スマホケースに常に入れて持ち歩くんだ」 「……………そんなに喜ぶなら、やっぱぬいぐるみ買えば良かったんじゃねーの?何で止めたんだよ?」

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