怪訝に向けられる目。 尤もらしい問いに俺は言葉を詰まらせた。 「……それは………だって………」 「だって？」 「………こんな風になると思わなくて、形残るとしんどいかなとか……あとは……」 「？」 「あとは……やっぱ俺みたいのじゃキツイかなって……あんなぬいぐるみとかさ水野みたいに可愛かったら別だけど……」 水野なら似合いそうだよな、ぬいぐるみ持ってても……でも俺はさ普通にしてればβと変わんないし、普通に男だし……。 俺の良さを知ってもらうどころか引かれて終わりなんて嫌だったんだもん……。 「………そんだけ？」 「………そんだけ」 「あ、そう。じゃあ今度行った時買うからちゃんと受け取ること」 「え、いや………え!?今度!?また一緒に行ってくれんの!?」 「お互い楽しかったんだから、また行ったっていいだろ？」 駄目なのか？と首を傾げた篠原に抱きつきそうになるのをグッと堪える。 「ダメじゃない！全然ダメじゃない！行く！めっちゃ行く！」 「ふはっ、変り身はえーな。お前見てると飽きないよ」 「だって嬉しいもん！」 そっか、あれっきりじゃないんだ……。 また一緒に出掛けられるんだ。 「篠原、大好き！」 立ち上がった篠原が口を開きかけた瞬間、俺の視界は何かに遮られ、座っていた身体は突然の衝撃に耐えられず後ろへ反る。 ………え、な、何!? 「――浅井くん！！」 「なっ………水野!?何だよ、お前、抱きつくな！はーなーれーろーよ！」 俺の視界を遮り、更にはすごい衝撃で抱きついてきたのは天敵水野だった。 「何!?いきなり何!?超迷惑なんですけど!?今篠原といい感じだったのに！」 「え、そうだったの…？ごめんなさい……」 身体を離した水野は眉尻を下げてシュンとする。 ああ、もうそんな顔したら………。 「大丈夫だ。浅井もいきなりで驚いただけで本気で怒ってないよ。な？」 ほら、すぐ味方する……頭なんて撫でちゃってさ………。