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運命_4
半ば強引に引きずられて大学の近くにあるカフェへ。
……何かデジャヴだな、これ。
「好きなの頼んでいいからね!」
好きなの………だったら遠慮なく一番高いパフェ頼んでやろ。
「………じゃあスペシャルマロンパフェ」
「美味しそうだね!僕もそれにしよっと。すみませーん!」
水野の声に反応した店員が直ぐに注文を取りに来る。
スペシャルマロンパフェを二つ頼んだ水野を店員が去ってから一瞥した。
「で?何?俺、お前に構ってやるほど暇じゃないんだけど?言っとくけど、篠原との時間邪魔したことこんなパフェじゃ償いきれないからな」
「それは本当にごめんね。それでね、あの……相談したい事なんだけど……」
モジモジと躊躇ってその先を言わない。
心なしか頬を赤らめて、俺の頭には疑問符が浮かぶばかり。
「……何?ハッキリしろよ」
篠原なら可愛い、とか思って水野が踏ん切り付くまで待つんだろうけど……俺はそんな優しくないぞ。
「うー……あの、あのね!す、好きな人に素直になるにはどうしたらいいかな……?」
「……………え?今なんて?」
「好きな人に素直になるためにどうしたらいいかな……?ほら浅井くんっていつもみーちゃんに対してストレートに気持ちをぶつけてるでしょ?だからその……相談に乗ってほしくて……」
好きな人………?
今、好きな人って言ったか………?
「な、なあ……念の為訊くけどその好きな人って篠原だったりしないよな……?」
「みーちゃん?違うよぉ。だってみーちゃんは浅井くんの好きな人でしょ?」
確かにそう。そうなんだけど………。
言葉に詰まるとちょうど頼んだパフェが運ばれてきて、水野は目を輝かせる。
「美味しそう!溶けないうちに、とりあえず食べちゃお!」
「ああ………うん………」
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