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運命_6
それはそれは重たい溜め息をついて、縋るような視線を俺に向けた。
「僕、恋愛ってしたことないんだ……。だから浅井くんにアドバイス貰いたくて………」
「何で俺が……お前に割く時間なんかないっての」
冗談じゃないと嫌味ったらしく言ってやる。
「うっ……そ、そっか……そうだよね……。恋愛に関しては浅井くんの方が絶対頼りになると思ったんだけど…みーちゃんにも聞いてもらおうかな……」
「――ダメだ!」
「え………」
「それだけは、ダメだ…」
頭を掠めたのはあの寂しそうな背中。
篠原はきっと優しいから真摯に話を聞いて、真面目にアドバイスなんかするんだ。馬鹿みたいに悲しそうに笑ってさ。
「…………っ……し、仕方ないからこの恋愛マスター浅井様がアドバイザーになってやる」
「え!?本当!?」
「ただし!篠原に言うのは禁止!」
「う、うん……でも何で?」
「そんなの――………そんなの………面白くないからに決まってる!俺の大好きな篠原がお前なんかの事で頭を悩ませるなんて、面白くない!恋とはそういうもんだ!」
「そうなの……?そっか、うん!分かった、約束するね」
何、してんだろ………。
どう考えても絶好のチャンスなのに。
水野に好きな人が出来たなら、篠原に諦めてもらうチャンスなのに。
それなのに………。
篠原の傷付いた顔見る方が嫌だなんて……また矛盾ばかりが増えていく。
もし篠原が知ってしまったら、どんな顔をするんだろう。
どんな言葉を掛けるんだろう。
その時俺は何て声を掛けたらいいんだろう……。
「――浅井くん?パフェ溶けちゃうよ?」
「あ、ああ……うん」
結局食べたパフェの味は最後まで分からないままだった。
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