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運命_7

水野の相談に乗ってから十日……俺は既に後悔しまくっている……。 講義終わりにスマホがメッセージを知らせると深い溜め息しか出てこない。内容なんて確認しなくても分かる。 「…………やっぱお前かよ」 送り主は当然水野で、同じカフェで待ってると言う内容のもの。 「――浅井?帰らないのか?」 当に帰り支度を済ませた篠原が怪訝な顔をして俺を見下ろしている。 「あ、あー……用事あるから先帰っていいよ……」 俺が激しく後悔してる理由はこれ。 アイツが二日に一回呼び出すから篠原との時間が全っ然取れないんだよ! けど断って押し掛けられた挙げ句変な事口走られる方がマズいし……。 でもでも篠原不足……。 「……またか?この前から多くないか?」 「いや、まあ……ちょっと……」 「バイトでも始めたのか?」 「いや、違うけど……その……」 あ、怪しまれてる……。そりゃそうだよな、今まで毎日付きまとってた訳だし……。 「まさかお前俺に隠れて……」 「え……!?」 もしかして水野と会ってるのばれたんじゃ……。 「何か危ない事してないよな?」 「…………へ?」 「お前結構向こう見ずな所あるからなぁ。で、危ない事してないよな?」 「し、してない……ちょっと……友達に会ってるだけ……」 俺以外に友達居たのか、と驚きと馬鹿にしたような言葉が降ってきて、俺はジト目を向けた。 「失礼な。居るよ、ちゃんと」 「はは、そりゃ悪かった。俺としか居ないから友達居ないかと思ってたわ」 嘘。親しい友人なんて居ない。 少し会話を交わすぐらいはするけど、遊びに行ったりする友人は居ない。 だって時間は全部、篠原の為に使いたい。 「安心したよ。浅井ずーっと俺ばっかりと居るからさ。友達との時間も大切にな」 「うん………………」 「じゃあまた明日」 「――あ……」 立ち去ろうとする篠原の服の袖を思わず掴んでしまった。 「……どした?」 「ほ、本当は……一緒に帰れないの寂しい……」

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