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運命_11
俺達が通う経済学部と水野達が通う文学部は同じキャンパス内でも建屋が違う。
俺達はK棟、水野達はL棟での講義が基本だ。
だから俺は絶賛迷子中である。
結局あれからも進展なんて見られそうもなく、もう面倒臭いから字見と話つけてやろうって意気込んできたのは良いものの………この大学って無駄に広いんだよな……。
アイツの行動パターンも全っ然知らないし、さすがに無謀だったか。
そこそこ顔良いわけだし、もっと目立ってると思ってたんだけどな…見当違いだったみたいだ。
講義終わってから結構経ってるし、構内の人も疎らになってきてる。
こんな事なら篠原と帰れば良かったな……損した。
L棟の出口、肩を落として外に出ると一人の男子学生が俺を追い越して何処かに向けて声を上げた。
「――字見ーっ!レポート今日までだって教授怒ってたぞー!」
――!字見?字見って言ったよな、今。
男子学生が声を掛けた先には、確かに見覚えのある顔が居た。
ラ、ラッキー!けど無駄に運を使った気もする……。
「…………レポート………忘れてた」
「またかよ。お前そろそろ単位落とされるぞ?いくら成績良いって言ったってさ」
「………確かに」
「他人事かよ」
会話を聞く限り親しい仲っぽい…。
意外だな、友達とか居なさそうだったのに。
「あ、あのぉ………」
割って入った俺に反応したのは字見じゃない方。
「ん?何?何か用?」
「あ、えっとそっちに用事が……」
「字見?………知り合い?」
男子学生の問いに漸く俺の方を見た字見は、まじまじと視線を寄越してくる。
「…………いや、知らない」
………コイツ。
いや確かにな、あの時水野以外眼中にないって感じだったもんな。
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