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運命_13
「……運命とかじゃなくて水野自身のこと好きかって訊いてるんだけど?」
「関係ないよ。運命は結ばれる、それだけ。それ以外に選択肢なんてない」
何、コイツ………。
「それってさ、水野が好きなんじゃなくてアイツがたまたま運命の相手だったってだけ?」
「そうだね。でも運命の相手はこの世でたった一人だけ。必ず惹かれ合う。それは決められた事だから」
確かに運命の番は本能で惹かれ合うのだと言う。
けど、けどさ……何かそれって気に食わない。
だって現に……。
「でもお前の口振りからは惹かれ合ってるようには思えない」
「………………」
「勝手に決めつけてるだけにしか見えないけどね」
わざと挑発的に言ってみた。
だけど字見は取り立てて怒りを見せることもなく、短く息を吐き出しただけ。
「……αとΩの事なんてアンタには分からないだろ、βなんだから」
「…………分かる。一応俺、Ωだもん。見えないかもしれないけど……」
βと間違われることは良くある。
むしろ俺の事をΩだと最初から思う奴の方が少ない。
「……Ω?」
その時、字見は初めて俺に興味を示した。
「そうだよ。一応な……まあ、確かに運命の番ってのは会ったことないし分かんないけど……」
「Ω…………おかしいな……」
怪訝な顔をした字見は腰掛けていた机から立ち上がると、怖いぐらい真っ直ぐな視線で俺を捉える。
「な、何だよ……ちゃんとΩだってば」
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