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運命_14

やっぱ苦手だ、コイツの目……。 居心地が悪くて視線を逸した矢先、視野が陰り、鼻には甘い匂いが届く。 「――え……な、に……」 「………本当だ。微かにΩの香りがする。俺、フェロモンには敏感な方だけど、それでもこの距離じゃないと分からなかった」 そう言った字見の声は左の耳元から。 戻した視界の間近には字見の横顔がある。 「なっ……!?わ、近っ――」 「え、ちょっと……危な――」 体温を感じるほど近付いた距離に思わずその身体を跳ね除けようとした反動で、俺の身体は後方へと傾いていく。 げっ……やば……転――。 立て直せない体勢に覚悟を決めてギュッと目を閉じた。 これ絶対頭打つやつだ。 重力を感じたのは束の間、次の瞬間には背中に鈍い痛みが走る。 「――痛っ………あれ………?」 でも痛かったのは身体だけで頭は痛くない……。 恐る恐る開けた視界では、呆れた表情の字見が俺に覆い被さっていた。 「……馬鹿なの?」 「なっ……元はと言えばお前が……」 急に近づくから……でも、手で頭守ってくれたんだ……。 「……あ、りがと」 「頭打って死なれたら祟られそうだったから。アンタ執念深そうだし」 やっぱ嫌い。 「まあ、いいや。怪我は?」 「背中痛いぐらい……」 訊きながら頭の下から引き抜かれた字見の手が赤く擦り向けているのが見えて、思わず手を取った。 「そっちの方が怪我してる」 「こんなの掠り傷」

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