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運命_16
心配、してくれんだ……嬉しい……。
「何も!俺が転びそうになって助けてもらっただけで……」
「そっか。…………ん」
差し出された手。
少し悩んでその手を取ると、身体を起こすのを支えてくれた。
「ありがと……」
「ん」
短い返事の後、篠原は俺の隣に腰を下ろして肩には仄かに体温が伝わる。
え……近くない?何か近くない!?
しかも黙り込んじゃったし、怖くて隣見れないんだけど……。
「あー……のさ、何で篠原がここに……?」
「浅井の事探してたら智に会って、ちょうど会いに行くところだからって……一緒に」
「そ、そっか……」
……また無言。何この時間…気まず過ぎない……?
「……最近やたらコソコソしてると思ったら、智の話聞いてやってくれてたんだな」
「ぅえ!?な、何でそれを……」
「さっき智が楽しそうに話してくれたから」
あ、アイツ、余計な事を……ちょっと待てよ、て事は……。
嫌な予感が胸を渦巻く最中、肩口の体温が更に重みを増して篠原が寄りかかってきたのだと気付いた。
「浅井はさ、運命って信じるか?」
「……………」
やっぱり。
やっぱり、そうだ。
篠原は水野の気持ちに気付いて……。
「そ、れは……その……」
「ああ、言っておくけど智はお前に何の相談してたのかまでは言ってないからな」
「え、じゃあ何で……?」
知ってるのかと言う言葉は声に出さずとも伝わったらしい。
「さっきの反応見れば何となく分かる。ずっとアイツのこと見てきたから」
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