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運命_17

寂しい声音だった。 こんなの顔を見なくても分かってしまう……。 「俺はさお前に言ってきた通り、ただ見守るだけで良かったんだよ。本当に。その気持ちに嘘はなかった」 「…………うん」 知ってる。 知ってるよ。 俺だって篠原の事見てきたんだもん。 そのぐらい知ってるよ。 「智が笑ってくれてるなら幸せだって、本当にそう思ってたんだ」 「………………」 「………けど、やっぱ智が他の奴を好きになったのを目の前で見せられると辛いものあるな」 「………………」 「失恋ってこんなに辛いんだな。………改めてお前の事凄いと思った」 恐る恐る見た隣の顔は真っ直ぐに俺を方を向いていて、それはそれは悲しそうに笑った。 あ、痛いな……。 胸が凄く痛い。 そんな顔で笑うぐらいなら泣けばいいのに。 俺、篠原のその顔一番嫌なんだ。一番悲しくなるんだ。 一番、見たくないんだ……っ。 「……………――あ!篠原、あれ見て!」 「え………?」 俺が居る方とは逆を指差して、篠原は釣られるようにそちらを向いた。 「………?何もな――」 篠原の声が向こう側から帰ってくる刹那、その振り向き様の頬にそっと唇を寄せた。 すぐに離れて覗き込んだ表情は驚きに溢れていて、悲しい笑みの面影はない。 「………………ぇ……?」 「……へへ、ビックリした?」 「…びっくり……した……」 「前、水野がしてたのずっと羨ましいって思ってたんだ」 瞠目していた篠原は次第に目を細めて「……馬鹿だな」と小さく呟いた。 「浅井が泣いてどうするんだよ」 「………なっ…ぃてない……」 「はい、嘘。めちゃくちゃ涙流れてるって」

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