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運命_22
床に降ろした千歌は満面の笑みを浮かべて浅井へ挨拶をする。
「こ、こんにちは。初めまして、浅井です」
浅井は一瞬面食らいつつも、千歌の身長の高さまで腰を下げて丁寧に返す。
「あさい………くん?」
「そ、兄ちゃんの友達。ほらこの前やったお土産の」
「あ!あさいくん!」
千歌は思い出したように一度リビングの方へ駆けて行き、戻ってきた手にはあの日俺が持ち帰ったウサギのフォルムのぬいぐるみがあった。
千歌はそれを浅井に見せるように掲げて「ありがとう!」と顔を綻ばせた。
「え、いや…俺が買ったわけじゃ……」
「でも浅井が選んでくれただろ?」
戸惑う浅井に声を掛けながら、千歌の頭を撫でると小さなそれはコクコクと頷く。
「ありがとう!」
「あ、えっと……どういたしまして……?」
「うんうん!」
それから小さな手が浅井の手を握り、中へと招いた。
「こっち、どうぞ!」
「わ、待って、待って!」
靴を脱がせる間を与えない千歌に浅井はあたふたとして、助けを求めるように俺を見る。
「ふっ、ははは」
「し、篠原ぁ…」
「こーら、千歌、浅井は兄ちゃんの部屋で遊ぶからそっち引っ張って行っちゃだめだぞ」
俺の言葉に千歌は不満を顕にして頬を膨らませた。
「やだ!千歌も遊ぶ!あさいくんと遊ぶの!」
そう言って浅井の腰に抱きついた千歌は「離れない!」と俺に宣言する。
人見知りしないのは千歌の良い所だが………初対面でこんなに懐くとは…。ぬいぐるみ効果か?
「あさいくん、だめ?」
強請る矛先を俺から浅井へとシフトして更には上目遣いをする様子に、妹ながら策士だなと感心した。
「え、い、いいよ。もちろん」
「わぁーい!」
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