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運命_23

じゃあこっち!と浅井の手を引く千歌は足取りを二階へ続く階段の方へ向けた。 「兄ちゃん飲み物持って行くから案内よろしくな、千歌」 「はぁーい!」 駆けて行く二つの背中を見送って俺はキッチンのあるリビングへ向かう。 そこではソファーに腰掛けながらテレビを見る弟の姿。 「ただいま、臣海(おみ)」 「………………」 掛けた声に反応はない。 これも最早いつもの光景となってしまった。 昔は、こんなんじゃなかったのにな…。 きっかけは昨年、臣海の高校入学と同時に行われた第二次性の検査だ。 臣海に渡された診断はβ。 父も母も特段第二次性に拘りがある人達じゃない。 それでも臣海の中で納得出来る結果ではなかったんだろう。 それから、特に俺に対してはこの有り様。 「友達来てるから」 「……………」 目すら合わない弟に一応声掛けをして、三人分の飲み物を片手に自室へと向かう。 部屋に近付けば千歌の楽しそうな声が耳に届いた。ドアを開ける前にたじろぐ浅井を想像したら可笑しくて、思わず口元が緩んだ。 「お待たせ」 「あ!みぃ兄ちゃんおかえり!」 そう声高らかに迎えた千歌は浅井の膝の上を占領して、とても上機嫌。 「千歌、浅井困らせたらだめだぞ」 「あ、大丈夫!俺全然平気だから!」 千歌のおかげで緊張が解けたのか、二人は「ね!」と目を合わせて笑い合う。 「千歌ちゃんは篠原に似てるから、将来絶対美人さんだね」 「俺に似てるからって……」 それ、褒められてるんだろうか……?

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