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運命_24
「びじんさん?」
「うん、千歌ちゃんは可愛いってことだよ」
「嬉しい!千歌、かわいいって!」
ドヤ顔で報告してくる千歌は楽しそうだし、まあいいか。
「良かったな、千歌」
「うん!あ、そうだ!あさいくん待っててね!」
何かを思い出したように千歌は立ち上がると部屋から駆け出していく。
「ごめんな、妹が迷惑掛けて」
「ううん、全然。千歌ちゃん本当に可愛いし。俺末っ子だから何か新鮮って言うかさ」
ああ、そう言えば兄が二人って言ってたっけ…。
「さて、今のうちに」
と突如切り出した浅井はゴソゴソとベッドの下を覗き込みだした。
「………………何してんだ?」
「篠原のエロ本探し」
「………はぁ?んなもん探してどうするんだよ?まさかここで自慰でもする気か?」
「失礼な!そんな事しないし!俺のオカズは篠原だけだし!」
「いやそれ自慢げに言う台詞じゃないから」
ベッドの下には何もない事を確認出来たのか、今度はいそいそと部屋中を見渡し始める。
俺はその様子を見て、やれやれと重い腰を上げ机横に設置してある本棚へと近付いた。
「そんなもん見つけてどーすんだ?」
「もちろん篠原の趣向をリサーチしとこうと思って。どんなマニアックな趣向でも応えてみせるし!」
「………本はねーけどDVDならあるぞ、ほら」
特に隠すでもなく本棚に置いておいたそれを差し出すと、それはそれでしょぼくれた顔をする。
「あ、あるんだ………」
「ま、残念ながら俺の趣向じゃないけどな。友達が置いてったやつ」
「友達…?」
「宮尾 」
「げっ……アイツの趣向とか全然興味ないんですけど」
宮尾とは俺達の共通の友達だ。
浅井的には友達じゃなく顔見知りと言う立ち位置らしいが。
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