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変化_1

………休みってこんな早かったっけ? 月曜日、こんなに憂鬱な朝を迎えたのはいつ振りだろ。 気が重い……。 大学の敷地内に入ってからは尚足が重い。 か、帰ろうかな………でもそれはそれでまた気まずくなりそう……。 あー、もう最っ悪だ! 「――あ!浅井くんおはよう!」 俺のドン底な気分に似つかわしくない程爽やかな挨拶。 振り向かなくても分かるわ……無視。 「あ、また無視する!浅井くん、おはようってば」 「あー、もう!わざわざ目の前に立ちはだかるな!月曜の朝から何で水野の顔を拝まなくちゃならないんだ!」 「……?浅井くん機嫌悪いね?」 「元々良くなかったのにお前のせいで更に悪くなったわ」 大体、全部コイツのせいじゃんか……。 水野を睨んだ視界の端から、もう一つ影が姿を見せた。 「げっ、字見……」 欠伸をしながら水野の横に並んだのは字見だ。 まるで上の空のような視線を寄越した字見は、目が合うと微かに反応を示した。 「あ、Ωの子」 「あ・さ・い・だ。て言うか……」 水野の袖を引っ張って、字見に聞こえないよう声を潜めて耳打ちをする。 「本当にコイツと上手くいったのか?」 「え、う、うん」 「………付き合ったの?」 「うん………」 顔真っ赤。こりゃマジだ。 「本当に大丈夫か?騙されてねーの?」 「大丈夫だよ!まあ、ちょっと色々あったけど……」 「色々ってな――っ!?え!?ちょ、何!?」 言葉の途中で俺の足は突然宙に浮いた。 「近すぎ。離れて」 両脇にはガッチリと俺の身体を支える字見の手。 「わ、分かった!分かったから掲げんな!お前背高いから怖いんだよ!」

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