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変化_2

俺だってそんなチビじゃねーのに、この屈辱……。 足をバタつかせる最中、ふと気付く。 この状況非常にマズいんじゃないか…? もしこんな所に篠原が居合わせたら………。 「は、離せ!今すぐ離せ!」 脇腹を掴む字見の手を離そうとしたけど、これがまた力強くて外せない。 「はーなーせーよーっ!」 嫌な予感ってのはどうしてこうも的中するのか。 「――おはよ」 「あ、みーちゃんおはよう!」 聴こえてきた大好きな声音に俺の身体はピタリと静止した。 恐る恐る首を横に捻れば、水野に笑い掛ける篠原がいる。 この間からタイミング悪すぎ……帰ればよかった…。 「………で、そっちは何やってんの?」 篠原の視線に晒されてる哀れすぎる自分の格好に頬が熱くなったけど、すぐに血の気が引いていく。 俺の格好なんかどうでもいい。それよりこの組み合わせが最悪だ……。 「ふっ、はは、顔赤くしたり青くしたり忙しい奴だな」 そう笑いながら俺に近付いてきた篠原は、すっと両手を差し出すと掴まれている俺の脇腹へと差し入れる。 と同時に字見の手が離れて、俺の身体は篠原に支えられると言う更に最悪な状況になった。 「はい、回収。………落とそうとしただろ、今」 「離せって言うから離しただけ。この高さから落ちたって怪我しない。せいぜい尻もちつくぐらいだろ」 「そういう問題じゃない」 「うるさいな。お説教しないでくれる?俺、アンタみたいなどっち付かずな奴嫌いなんだよね」 言うだけ言って満足したのか字見は欠伸を携えて、その場を立ち去っていく。 またね、と水野もその背中を追いかけて行き、残されたのは篠原と相変わらず足が宙に浮いたままの俺だけ。 「随分嫌われたもんだな。な?」 「な…っ…ぁ……はな、離して……!」

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