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変化_10

いい加減にしろと臣海が俺の右手を掴んだから、今度は左手を伸ばす。 させるかと臣海も負けず俺の手を阻んでくる。 「はーなーせー!ダサいクソガキには眉間グリグリの刑がお似合いだ!」 「誰が離すか!痛いんだよ、それ!赤くなんだろ!」 「中身ダサいんだから、顔もダサくなればいいだろ!」 「何なんだよ、アンタ……意味わかんねー」 一歩も引かないいがみ合い。 それを制したのは幼い声。 「――あさいくんだーぁ!」 咄嗟に臣海が手を離すもんだから、危なく転ぶところだった。 俺に気が付いた千歌ちゃんは嬉しそうに近くへと駆け寄ってくる。 「こんにちは、千歌ちゃん」 「こんにちは!」 ニコッと見せてくれる微笑みは天使と言っても過言じゃない。 「何してたの?けんか?」 「違うよー、お話してただけだよ。な?」 問い掛けに臣海は舌打ちをしてそっぽを向く。 「はい!千歌、あさいくんと遊びたいです!遊んでくれる?」 「うん!もちろん!」 「じゃあね、ブランコしたい!」 千歌ちゃんに手を引かれベンチから立ち上がる。 進む千歌ちゃんに身を預ける前に、座ったままの臣海へと目を向けた。 「言っとくけど何でもかんでもバース性を理由にするなんて、この世で一番ダサい奴のする事だからな。もし万が一にでもそれが理由で篠原に反抗してるんだとしたら、好きな子になんて一生振り向いてもらえないからな!もっと自分で努力しろよ!ヘタレ!」 極めつけに思いっきり舌を見せて、俺は千歌ちゃんとブランコへと向かう。 その背に言葉は返って来ず、遊び尽くした千歌ちゃんを連れ立って帰っていく時も俺と目が合うことはなかった。 言い過ぎたかな………。いや、いい。 ダサいもんはダサいし、ヘタレなもんはヘタレだ! ……………でも一応篠原にはフォロー入れとこう。 と、迎えた月曜日の朝。 「浅井、俺の弟と何かあった?」 俺が言うより先に篠原から話題が振られた。 「え!?な、何で………?」 「何かやたらとお前の話聞きたがるから」 「え、俺?何で?」 「いや、それ俺が訊いてんだけど……」

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