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変化_16
踵を返してくるりと180°身体を回す。
俺、喧嘩強いわけじゃないからあの人数じゃ絶対勝てないし、水野連れてちゃ逃げ切れるもんも逃げ切れないし。
関わらないのが一番。関わらないのが一番。
「大丈夫だって。どーせ気持ちいい事されたら何もかも分かんなくなるんだから、な?」
一番……一番………だけど………。
もし俺が水野の事見捨てたって知ったら、篠原怒るだろうな……。嫌われんだろうな………。
それは………それは嫌だなぁ………。一番怖いなぁ……。
進めていた足が自然と止まる。
興味持ってもらえない事より、好きになってもらえない事より、嫌われてしまう事が一番怖い。
「あー………もう、最悪」
水野の為じゃない。
自分の為だ、自分の。あと篠原の為。
絶対絶対水野の為なんかじゃない。絶対。
両手を握りしめたまま身を翻した。
殴り合いでも勝てない、連れて逃げも出来ない。
俺が助けられる手段なんて一つしかないわけで。
ほんと、最悪。
「――お兄さん達なーにしてんの?」
「あ?」
「もしかしてこれからお楽しみ的な?」
声を掛けながら近付けば男達は邪魔をすんなと言わんばかりに俺を睨み、水野は驚いた様に凝視してくる。
男達の警戒心を強めないようにと水野が余計なことを言わないよう牽制を込めて、渾身の笑顔を提げる。
頬攣りそう……。
「いいなー。俺ちょうど相手探してたんだよね。良かったらそんな子より俺の相手してくんない?」
「残念だが俺達はΩと楽しみてーんだよ。お前みたいなβの男なんてお呼びじゃねーっての」
想定通り男の一人が手を払う仕草をする。
そりゃそうだ。これが普通の反応だ。
「そんな寂しい事言わないでよ。俺、お兄さん達の大好きなΩだよ?」
「はぁ?Ω?お前が?」
だから絶対こう言えば食い付くと思った。
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