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変化_21
智が示した場所は浅井の家から距離があって、全速力で駆けつけた俺は肺が痛くなるほど息が上がった。
「――みーちゃん!」
路上でスマホを握った智の姿が見えて互いに駆け寄る。
「ハァ…っ…あさ、浅井は…?」
「ごめ、ごめんなさ…途中まで追い掛けてたんだけど、何回も突き返されるうちに見失っちゃって……。僕が、僕が絡まれたんだ……四人組の男の人達で…っ……それで……!」
そう言った智の両手は擦り剥け、左足は捻ったのか立ち姿がぎこちない。
「どうしよう……浅井くんが……あの人たち絶対浅井くんの事……っ!」
「智、落ち着け。何処に向かったのか全然分からないか?何か言ってたり…」
俺の問いに智は首を振る。
「浅井くんが……あ、喘げるような場所に連れてけって言って……そしたらその中の一人が浅井くん抱えて先導切って行っちゃって……あっちの方に向かったのは確かなんだけど……」
どうしようと瞳に溜まった大粒の涙が落ちていく。
「分かった。浅井は俺が探す。字見呼べるか?」
「う、うん…」
「じゃあ迎えを頼んで傷の手当てしてもらってくれ。俺はもう行くから」
頷いたのを確認して、その場から智が指した方向へと駆け出す。
陽はすっかりと落ち切っていて、辺りは暗い。
どれだけ足を進めてもそれらしい姿なんて全然ない。
途中、浅井のスマホに何度も電話を掛けたけれど当然繋がるわけもなく、ただ時間だけが過ぎていく。
「くそ……っ……どこ行ったんだよ……!」
一番近いホテル街にも、公園の公衆トレイにも、小さな路地裏にさえ見当たらない。
仮に何処かのホテルの一室に入ってしまったのだとしたら、それを探し当てる術なんて俺は持ってない。
現実はそう甘くないと嘲笑われている気にさえなる。
それでも足を止められないのは、もしかしたら隙を突いて逃げているかもしれないと願ってしまうから。
電話を掛け続けるのは、一瞬でもチャンスを逃したくないからだ。
「浅井……っ………」
繋がってくれよ……頼むから………。
無機質に鳴り続いていたコールが、突然止まった。
「!あさ――」
『――もうしつこいっつーの!何だよ、お前!』
俺の言葉を遮って聞こえてきた声は浅井のものじゃない。
「…お前こそ何だ?それは浅井のスマホだろ?」
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