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変化_25

持て余した熱が引くまでの期間は永遠にも思えるぐらい長かった。 一人ベッドの上で発情期の終わりを迎えた俺は、投げ出していたスマホを手に取り、電源を入れる。 立ち上がったそれですぐに確認したのは日付。 あの日からちょうど一週間が経過していた。 一週間……もっと経ってると思った………。 それから次に確認したのは沢山の留守電。 「………篠原、ばっかり…………」 連なる名前は“篠原”ばかりで、途中の数件だけ水野の名前があった。 一番最後のメッセージをタップしてスマホを耳に当てる。 日付は今日のものだ。 『……篠原です。元気か?何度も電話掛けてごめん。迷惑かもって分かってるんだけど……一目でいいから会いたい。無理なら電話だけでも。待ってる。』 それ以外のメッセージも似たような内容で最後は必ず“待ってる”で締め括られていた。 待ってる……か。 「………っ……だなぁ………やだなぁ……会いたく、ないなぁ……」 泣きたいわけじゃないのに自然と涙がシーツに落ちていく。 頑張れない、頑張りたくない……。 急激に心が疲れた。 頭を掠めるのはあのαの言葉。 『さっきから誰のこと呼んでるの?好きな人?でも番じゃないんだね、片想いかな?そっか、片想いか。可哀想に、片想いなんて大抵報われないよ。無駄無駄。そんな辛い思いしなくてもさ、Ωならαに媚びれば幸せになれるよ?可哀想な君にαへの媚び方教えてあげる。どれだけ想っても本能には勝てないんだって実感するといいよ』 報われない………。 頑張ったって、どうせ。 それでも諦めたくなくてずっと目を背けてきた。本当はもっとずっと前から分かっていた。 不毛な事も、報われない事も。 だって現に報われなかった片想いが、目の前で一つ終わったんだから。 俺よりも長い年月をかけた篠原の片想いさえ、報われる事はなかったんだから。 どれだけ想っても、俺は結局Ωの本能に勝てないんだから。 「もう………やめたい……っ……しんど……しんどいよ、篠原ぁ……っ……」

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