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隣_2
それから二講義分の長い時間を費やした退屈な話を聞き流しながら、浅井の事を考えた。
『一目惚れした!俺と付き合ってください!』が出逢って最初の第一声だった。
あの時は単純に変な奴だとしか思わなかったけど、今考えれば顔真っ赤にして震えてた気がする。緊張してたんだな、きっと、ああ見えて。
途中何度かスマホを確認したが今朝のメッセージに返信はなかった。既読にすらなってない。
言葉が届かない事がもどかしい。
浅井はずっとこんな気持ちだったのかもしれない。
大丈夫か、体調悪くないか?とメッセージ欄に入力したけれど送信ボタンを押せずに留まる。
違うな、俺が今一番伝えたいことは……。
入力した文字をすべて消して、今度はたった4文字を入れて送信した。
“会いたい”と、ただそれだけを。
長い講義を終えて昼休みに入る。
午後は休んで浅井の家に行こうと帰り支度をしていたら、もの凄い勢いで智が講義室へと駆け込んできた。
無理矢理引っ張られて来たのか袖を掴まれた字見も一緒だ。
智はキョロキョロと辺りを見回して、それから凄い剣幕で俺に駆け寄った。
「――浅井くんは!?」
「え、いや浅井ここ最近大学来てないから……」
「違うの!来てたの!今日!大学に!」
「え………」
「本当だもん!朝会ったんだよ!講義出るって言ってたからまだ帰ってないはず……って、みーちゃん!?」
智の言葉の意味を理解した瞬間、俺の足は講義室を飛び出していて、構内を息を切らして走った。
浅井がいる………近くに……見つけないと、早く。
今度は、今度は絶対に見つける………。
「浅井……っ……」
絶対に、俺が……。
何事だと周囲の視線が集まっても、そんなもの俺には関係ない。どうでも良かった、そんな事。
昼休みの為か多くの人間が食堂へ向かう流れの中で、一人それに逆らう目立つ影を見つけた。
ひどく見覚えのある後ろ姿。
俺が見間違うはずがない。
「――浅井!」
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