98 / 139

隣_12

side Ω ゴツゴツとした大好きな男らしい手に包まれた両頬が熱い。 こんな……こんな近くで見つめられたら、頭の中いっぱいになるに決まってるのに。 「じゃあ大丈夫だ」 「え?何が……?」 一人心地に納得する声に俺は疑問符ばかりが浮かんで、閉じていた瞼を恐る恐る開く。 「こうやって側にいれば俺の事だけで頭がいっぱいになるだろ?だから大丈夫。もし仮にまた浅井がαのフェロモンに当てられても、俺がずっと側にいるから。俺だけを求めてもらえるように」 「な、んで……」 「何でって……さっきの聞いてたか?俺、お前に告白したんだけど。浅井のことが好きだって言ったんだよ」 「〜〜っ」 「まあ忘れたなら何回でもするだけだけど。浅井、好き。好きだ」 嬉しいのに信じられなくて、心臓が痛すぎて、泣きたくて……感情がぐちゃぐちゃだ。 「恋人になりたい、浅井と」 俺の大好きな優しい笑顔。 嘘じゃないんだって分かるのに素直に受け止めきれない。 「でも、俺全然篠原のタイプじゃないし……篠原は水野みたいのが好きだから、俺じゃ全然ダメだって……」 「何で智と比較するんだ?俺は浅井が好きだって言ってるだろ」 「だけど……」 「小さくて可愛くて守ってあげたくなるタイプ。あれ、間違ってなかった。俺は浅井のこと守ってやりたい」 「俺小さくも可愛くもないけど……」 「俺より小さい。それに、お前可愛いよ。少なくとも俺は可愛いって思った」 篠原より小さい奴なんて山程いるじゃんか……ばか……。 「どうする?俺の事、振る?」 「振、れない……俺だって……俺の方がもっと、ずっと篠原の事好きだもん……!出逢った時からずっと……ずっと好きだったもん……」 四年前、一目惚れをした。 初めて知った恋は、本で読むよりドラマで観るより、ずっとずっと苦しかった。 「俺の方が絶対好きだか――ぅわっ!?」 言いかけた言葉の続きは篠原の胸に吸い込まれた。 「――嬉しい」 「ぁ……な……っ」 「振らないってことは肯定として捉えるからな」 「…ぅ………うん」 強く引き寄せられた身体は篠原の腕の中。 すっぽりと抱き締められ、背中に回った腕はこれでもかと力を込められる。 「はぁ……ヤバいな、すげー嬉しい。ごめんな、ずっと。辛い思いさせてたよな……」 「……ううん。辛かったけど、水野のこと大切にしてる篠原も好きだったから……」

ともだちにシェアしよう!