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隣_12
side Ω
ゴツゴツとした大好きな男らしい手に包まれた両頬が熱い。
こんな……こんな近くで見つめられたら、頭の中いっぱいになるに決まってるのに。
「じゃあ大丈夫だ」
「え?何が……?」
一人心地に納得する声に俺は疑問符ばかりが浮かんで、閉じていた瞼を恐る恐る開く。
「こうやって側にいれば俺の事だけで頭がいっぱいになるだろ?だから大丈夫。もし仮にまた浅井がαのフェロモンに当てられても、俺がずっと側にいるから。俺だけを求めてもらえるように」
「な、んで……」
「何でって……さっきの聞いてたか?俺、お前に告白したんだけど。浅井のことが好きだって言ったんだよ」
「〜〜っ」
「まあ忘れたなら何回でもするだけだけど。浅井、好き。好きだ」
嬉しいのに信じられなくて、心臓が痛すぎて、泣きたくて……感情がぐちゃぐちゃだ。
「恋人になりたい、浅井と」
俺の大好きな優しい笑顔。
嘘じゃないんだって分かるのに素直に受け止めきれない。
「でも、俺全然篠原のタイプじゃないし……篠原は水野みたいのが好きだから、俺じゃ全然ダメだって……」
「何で智と比較するんだ?俺は浅井が好きだって言ってるだろ」
「だけど……」
「小さくて可愛くて守ってあげたくなるタイプ。あれ、間違ってなかった。俺は浅井のこと守ってやりたい」
「俺小さくも可愛くもないけど……」
「俺より小さい。それに、お前可愛いよ。少なくとも俺は可愛いって思った」
篠原より小さい奴なんて山程いるじゃんか……ばか……。
「どうする?俺の事、振る?」
「振、れない……俺だって……俺の方がもっと、ずっと篠原の事好きだもん……!出逢った時からずっと……ずっと好きだったもん……」
四年前、一目惚れをした。
初めて知った恋は、本で読むよりドラマで観るより、ずっとずっと苦しかった。
「俺の方が絶対好きだか――ぅわっ!?」
言いかけた言葉の続きは篠原の胸に吸い込まれた。
「――嬉しい」
「ぁ……な……っ」
「振らないってことは肯定として捉えるからな」
「…ぅ………うん」
強く引き寄せられた身体は篠原の腕の中。
すっぽりと抱き締められ、背中に回った腕はこれでもかと力を込められる。
「はぁ……ヤバいな、すげー嬉しい。ごめんな、ずっと。辛い思いさせてたよな……」
「……ううん。辛かったけど、水野のこと大切にしてる篠原も好きだったから……」
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