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隣_13

それは強がりとかじゃなく、本音。 「じゃあ今度は浅井のこと大切にする俺を好きになってもらわないとな」 そう言った篠原から伝わってくる心音は思いの外速くて、俺と同じ間隔で鼓動していた。 「……ドキドキしてる、篠原も……」 「そりゃするだろ。初めて両想いになったんだし」 「へへ、そっか。嬉しい……!」 俺だけじゃないんだ……篠原も同じ……俺でドキドキしてくれるんだ……。 心臓の音をもっと聴きたくて、篠原の胸に耳を押し当てるとそれは更に速度を増した。 「わっ……速…………篠原、大丈夫?」 あまりにも速いから心配になって懐から篠原を見上げると、見たことないぐらい真っ赤な顔をして見下ろしていたから、釣られて俺も動揺してしまう。 「え、あ……何で、そんな顔赤いの……?」 「あ、かくなってるか……?悪い、可愛いなって思って……。その、あんまり浅井の方から近付いてくることないから……」 「恥ずいな……」って笑う篠原がなんか、なんか物凄く可愛く思えてしまって、咄嗟に落ちていた腕を篠原の背中へと回した。 「ん?何?どうした?」 「か、可愛かったから、つい…………。いつも格好良いのに初めてそんな表情見た……可愛い……」 「いや、お前の方が可愛いだろ、どう考えても。あと出来ればずっと格好良いって思われてたい」 やり取りが擽ったい。 四年間、この恋をしてきてこんな胸の苦しさはなかった。 こんな溺れてしまいそうな、甘い苦しさは。一度も。 「………良かった」 徐にそう呟いた篠原は俺の項に指先を這わせる。 「本当に良かった……服脱がされただけで済んで。いや欲張るとそれも嫌なんだけど、でも手遅れにならなくて良かった」 「…………うん」 「本当にそれだけなんだよな?他に何かされたりしてないんだよな?」 「本当にそれだ――…………あっ」 「……?浅井?」 そう言えばと一つの出来事が頭を掠めた。 曖昧な記憶の中でも、あれは確かにされた気がする。

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