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隣_18
まあいいかと嘆息した直後、天を仰いでいた目が俺の元へと落ちてきて、まるで品定めをするように足の先から頭の天辺までをジロジロと視線が絡みつく。
「な、何だよ……?」
「…………」
相変わらず何考えてるか分からない目。苦手だ……。
水野はこんな奴のどこを好きになったんだ?
そんな事を考えているうちに、のそのそと動き始めた字見は突然俺の手を取り、鼻先がぶつかるギリギリの位置まで顔を寄せた。
「わ、なっ……何す――」
「――……まあ、そっちの方が悪くないんじゃない」
そう言った字見がふわっと笑うから、不覚にもドキッと心臓が鳴る。
コイツもこんな顔して笑えんだ……初めて見た……。
にしても篠原と言いコイツと言い、αって無駄に顔整ってるよな。
コイツも顔だけ見てりゃ普通にイケメンだしな、変な奴だけど。いや、もちろん篠原が圧倒的に一番格好良いに決まってる。
「……何その顔?キスでもしたい?」
「は?んなわけないだろ!」
「嫌よ嫌よも好きのうちってね」
「ふっざけんな!はーなーせーよーっ!」
全身全霊で腕を引っ張っても字見の手は全然外れない。
それどころか距離は近付くばかりで……。
や、嘘だろ?
篠原も水野も居るんだぞ!?何なんだよ、コイツ!
「や、やだっ……やめ――」
「――……なーんてね」
途端パッと離された手。突然の事でバランスを崩した身体は後方へと傾いた。
筈だったのだけど、俺の身体はいつの間にか真後ろに立っていた篠原の腕の中に収まっていた。
「し、篠原……」
「大丈夫か?」
「あ、りがと……」
頭上から覗き込んできた篠原を見上げて小さい頷きを返す。
直ぐに立て直そうとした身体は前に回ってきた腕により、そのまま拘束されてしまう。
「ぅ、篠原離し……」
「もししてたら殴ってるところだった」
篠原の言葉は俺に向けられたものではなく、再び欠伸を溢している字見に向けられたもの。
「そんなおっかない匂い纏ってるΩに手出すほど馬鹿じゃないから」
に、匂い……?
俺、何か匂いしてんの……?
「独占欲強すぎ。アンタってそう言うタイプなんだな」
「好きな奴を守りたいって思うのは当然だろ?」
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