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隣_19

な、なんか見えない火花が散ってるような…………。 そんな二人の睨み合いを遮ったのは目を輝かせた水野だ。 「みーちゃん今好きな奴って言った!?言ったよね!?」 興奮気味の水野を見て、気恥ずかしさが募る。 「ん、言った。俺達付き合う事になったから」 「わ、わあああ!篠原何言って……!?」 動揺する俺を見て頭上の篠原は首を傾げる。 「あれ、違った?恋人だって舞い上がってたの俺だけ?」 そんな悲しそうな表情するなんてズルい……。 「ち、違っ…………わないけど……」 「良かった」 「ぁ………………」 胸の所で交差していた篠原の腕が更に俺を抱え込んで、密着する熱。確かに嬉しい。けれどこの落ち着かない気持ちはなんだろ……。 「篠原……恥ずかしいから離してほし……」 「ん?ああ、ごめんな」 ようやく身体が解放されたと、ほっと息をついたのも束の間、今度は水野が俺の手を取り、キラキラした目を目前まで寄せてくる。 「浅井くん、おめでとう!ついに……本当におめでとう!僕すごく嬉しい!」 まるで自分の事のように喜んでくれる水野に悪意なんてこれっぽっちもない。純粋に喜んでくれてるだけ。 「…………うん」 「……?浅井くん?」 だけど俺は、篠原の前でそんなに喜ぶなよとか、篠原はどんな気持ちで聞いてるんだろとか、余計な事ばかり考えてイライラして…………全然喜べない。 こういう所、自分でも可愛げないなって思う。 「…………そうだ!ね、折角だしさ四人でダブルデートでもしない?」 突拍子もない水野の提案。 「は?」 「え……」 嫌悪を隠しもしない字見の声と動揺を隠し切れなかった俺の声が重なった。 「僕、そう言うの一度やってみたくてさ!」 「え、いや、ちょっと待っ……」 「浅井くん達となら絶対楽しいし!ね、みーちゃん良いでしょ?」 あー!馬鹿!篠原に振るな、話を! 「ん?んー……そうだな……」 思案する篠原は何故か俺を一瞥して、ニコッと笑顔を見せる。 な、何……その笑いは…………。 「……いいぞ」 「やったー!」

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