117 / 139

隣_31

篠原の手が擽ったくて、ようやっと手を止めてくれた頃にはすっかり息が上がってた。 笑いすぎて涙も出てきたし。 「ひ、ぃ……はぁ……も、無理ぃ……篠原のばか」 「はは、悪い悪い。でもちょっとは緊張解れた?」 脇腹を擽っていた手が腹回りを通って、背中には体温が密着する。 「あ、うん……解れた、かも?」 「かもかよ」 篠原が笑う振動も背中に伝わる。 それから……。 「あ、ああああのさ!間違ってたらごめんなんだけど、もしかして……た、た、た……」 「ああ、やっぱバレる?まあ好きな奴とこんだけ密着してたら勃つだろ、そりゃ」 や、やっぱりそうだよな……この後ろに当たってる感じ。男だし流石に分かる……。 「そ、れは……俺でってこと……?」 「いやむしろこの状況で浅井以外の理由で勃ってるとか意味わかんねーから」 「そうかもしれないけど、なんか信じらんないって言うか……何と言うか……」 「まあ、そのうち信じてくれりゃいいよ。今日はしないって約束だし、出来れば目を瞑って欲しい」 手離すって選択肢はないんだ……。 後頭部にコツンと篠原の額が宛行われて、何だか甘えられてる気分。 「…………一つ、我儘言っていい?」 その姿勢のまま、篠原の声のトーンは少し下がる。 「?うん、何?」 「項にさ、キスマーク付けていい?」 「え!?き、キスマーク!?何で!?」 「何でって……お守り」 「お、お守り……?」 「何だ、知らないのか?」 篠原は何で知らないんだぐらいの言い方だけど、俺には全く意味が分からない。 「し、知らない……」 「そうか……。αが番にすると決めたΩにするものだ」 番…………番って………あの、番………?

ともだちにシェアしよう!