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隣_35

首を傾げた千歌ちゃんの視線の先では、ベッドから床に転がり落ちた篠原。俺が突き飛ばした衝撃で見るも見事に床へと転がっていらっしゃる。 ご、ごめん……篠原……。 「あー……ストレッチ」 「すとれっち?」 「そ。それより千歌、よく浅井が来てるって分かったな」 身体を起こしながら問う篠原に千歌ちゃんは笑顔で頷く。 「うん!玄関にあった靴見てね、おみ兄ちゃんがあさいくんいるって!」 「あー……なるほど」 「千歌もあさいくんと遊びたい!」 キラキラの目を向けてくれる千歌ちゃんはいつ見ても可愛い。 もちろん、と返した俺の視界の端で篠原はやれやれと肩を竦める。 「千歌、その前に手洗ったか?」 「あ!忘れてた!」 「じゃあ兄ちゃんと洗いに行こうな。ついでに飲み物取ってくるから、ちょっと待ってて」 俺の頭を撫でた大きな手は、小さな手を連れ立って部屋を出ていく。 「……はぁ…………」 溢れる溜め息と脱力した身体。何だか急激に疲れてベッドへと身体を沈ませる。 心臓がうるさい。 ずっとドキドキしてる。 心臓が脈打つ回数は決まっていると言うけれど、こんなんじゃ本当に早死にしそうだ……。 「好き……篠原が俺を………」 まだ熱を感じる項に触れると堪らない昂揚が湧き出てくる。 「番……番って言ってた……えへへ、嬉しいな」 篠原が語る未来にちゃんと俺は居て、しかも番になりたいなんて言ってもらえた。 「幸せだ、俺」 自然と緩む頬が抑えられなくて、他の人から見たら絶対気持ち悪い奴になってる自信がある。 「――…………イイとこの邪魔した?」 「――うわぁっ!?」 急に頭上から振ってきた言葉。 慌てて身体を起こして見上げれば無表情で見下ろしてくる臣海がベッドの傍らに立っていた。 「お、臣海………」

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