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恋人_3

そう言って寂しそうに篠原は笑った。 違う……篠原は悪くない。悪いのは俺の方なのに……。 「……ちょっと待ってて」 徐に呟いた篠原はベッドから抜け出すと寝室を後にする。 リビングの方から物音が聞こえ、少しして水を片手に寝室へと戻ってきた。 さっきと同じようにベッドに腰掛けた篠原は水が握られてない方の手を俺に開いて見せる。 「…………薬?」 「そう。これα用の抑制剤な。飲めばΩのフェロモンに当てられたりしない」 「う、うん?」 「薬、飲むから。浅井の身体見て萎えないって事も、発情期のフェロモンのせいじゃないって事も今から証明させて」 パキッと音を立てて薬のパッケージが割れ、二錠のカプセルが篠原の手の上で転がる。 「待って……抑制剤なら俺が――」 「――浅井には飲んでほしくない。抑制剤ってさ安全には出来てるけど、やっぱ身体にいいもんじゃないだろ?そんだけのフェロモン無理矢理抑え込むんだし……あんまりそう言う負担掛けたくないんだ」 「でも、そんなの篠原だって同じ……」 「Ωよりαの方が頑丈に出来てるし、俺は常服してきた訳じゃないから多少大丈夫だよ」 食い下がる俺の声なんて聞いてくれず、カプセルは口へと放り込まれ水と共に流れていってしまう。 「あ………」 「発情期もちゃんと俺が責任取るから。浅井はそのまま。……熱を収めるのは薬じゃなくて、俺の役割」 残った水をサイドボードへと置く仕草を目で追う。 「絶対悲しませない、後悔させない。もし本当にさっきの理由以外に怖いものがないなら、抱かせてほしい」 ベッドに乗り上げた篠原は少し距離を取って、両手を広げてくれる。 「無理なら無理でもいい。怒らない、いくらでも待つ。でもここに来てくれるなら、浅井の不安全部俺が取り除くって約束する」 「…………」 「セックス出来なくても、番にならなくても嫌いにならないし、呆れたりもしない怒りもしないのは本当だけど…………ずっと楽しみにしてたのも俺の本音だから」 だから信じてほしい、と懇願する言葉に身体は自然と篠原の腕の中へと飛び込んでいた。 「う……うぅ……やっぱすき……篠原が一番……すき……」

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