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SS_嫉妬2

乱れた前髪の隙間から伺いたてる目に、そんなことあるはず無いと唇を寄せる。 たったこれだけの事で未だ「王子さまみたい……」と嬉しそうに頰を緩める宗一を堪らなく可愛いと思う。 もっとスゴイことだってしてるのにな。 「楽しみにしてる」 「う、うん!期待してて!腕により掛けて料理作るから!」 絶対早く帰ろうと決意した一夜が明け、仕事も飲みの席も決して手を抜くことはしなかった。 上司にはしっかりと潰れてもらい、一次会で席を抜けた俺は息を切らしながら帰路を走る。 アルコールのせいもあり正直息苦しかったが、それよりも早く帰りたくて仕方がなかった。 腕時計を見ればまだ日付は変わってない。 ケーキやご馳走は食べられなくても、せめてキスをして「おめでとう」と言われながら一緒にベッドで眠るくらいはしたい。 アパートの外階段さえ駆け足で、もどかしい気持ちを抑えながら慌てて家の鍵を回し、ドアを開いたところで俺は動きを止めた。 家の中は真っ暗で、静まり返っている。 いつもなら明るい室内から駆けてきた宗一に迎えられると言うのに。 まだ帰ってないのか? 残業……にしては長いか。アイツも会社員だしな、付き合いとかあるよな。 スマホにも連絡来てないし、そんなに遅くならないだろ……。 風呂でも入って時間を潰せばすぐだと思ったが、考えが甘かったようで宗一はなかなか帰ってこない。 ソファーに座りながら壁に掛けた時計に目をやる。 日付、変わっちまうかな……。 手にしたスマホにも未だ連絡はない。 「………………」 そもそも先に予定が入ったのは俺の方だからと連絡は入れずにいたんだが…………。 「…………会いたいな」 “どこに居る?迎えに行きたい”、そう送ったメッセージは既読にならず小さな溜息を吐いた。 飲みの席なら気付かない確率の方が高いのは当たり前だ。それでも期待を捨てられず、スマホと睨み合うこと数分。 鳴ったのはスマホではなく家のインターフォンだった。

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