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俺だけの小説家7

「……目、開けろ」  試行錯誤して切った前髪は、初めてにしては上手くできたと思う。  前髪に隠れていた薄茶色の猫目が露わになる。こうして正面からじっくり見るのは静也も初めてだが、静也の予想していたとおりにこちらの方が断然良い。  以前から薄々感づいてはいたが、秋陽の顔は整っているほうだ。高い鼻と薄い唇は儚そうなのに、少しきつめの猫目が凜とした印象を持たせる。 「へ、変じゃない……?」  少し恥ずかしそうに前髪を引っ張る秋陽に、静也は頷く。変どころか、とても良い。 「よく、似合ってる」  静也の言葉に、秋陽は表情を緩める。  部屋の照明が秋陽の顔を照らす。暖房で温められた室温が心地良くて、静也は欠伸をする。  短くなった前髪を気にするように、秋陽は繰り返し繰り返し上を向いて確認する。  時計の音がやけに響いて、なぜだか胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

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