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第4話

自宅のマンションに帰ってきてエントランスを抜ける。 階段を使って三階まで上がるのは面倒くさくてエレベーターを呼んだ。 すぐに来たエレベーターに乗り込む。 直ぐに三階まで運んでくれる。 エレベーターを出て右手に曲がったところが俺の家だ。 二重ロックを解錠し、両手に袋を持ったまま器用にドアを開けて中に入った。 靴を適当に脱いで、廊下を抜け部屋へと続くドアを開けるとむわりと熱気が体に纏わりつく。 日中に、東側の窓から入ってきた日差しが部屋を気持ち悪いほどに暑くしていた。 テーブルの上に置かれているクーラーのリモコンに真っ直ぐに手が伸びる。 いつもより設定温度を下げて起動させた。 直ぐに冷たい空気は来ないから、エアコンを稼働させている間に手を洗いラフな格好に着替えると、冷蔵庫から缶チューハイだけ取り出した。 テーブルに袋から取り出した透明なパックに入った焼きそばと焼き鳥を並べて、付けてもらった割り箸を手に取って手を合わせた。 いただきます。 一人でも人と居ても、食事の挨拶だけはきちんとする。 反抗期にそういうことを怠ったら、母親に弁当で仕返されてから挨拶だけはきちんとする習慣がついていた。 大きな目玉焼きののった焼きそばは買ってまだ時間が経っていないからかほんのりと温かく、レンジで再度温める必要がなくそのまま食べる。 濃い目のソースがいかにも屋台の焼きそば、と言う感じがする。 塩分過多の焼きそばは、食べれば食べるほど水分が欲しくなる。 時々、缶チューハイに手を伸ばしつつ焼きそばを完食。 その時には缶チューハイは一本飲み切った為、もう一本冷蔵庫から取り出してきて、焼き鳥に手を伸ばす。 串を横に持ち、大きく口を開けて齧り付く。 タレが絡んだ鶏肉が、口の中でじゅわりと旨味が溢れ出す。 屋台で売っていた物だというのに、安いチェーンの焼き鳥屋で出されるものよりも美味しく感じて、次から次へと手を伸ばす。 缶チューハイの肴としてゆっくり食べるつもりが直ぐに無くなった焼き鳥に名残惜しさを感じつつ、缶チューハイへと手を伸ばした。 口の中の脂を流すように、缶チューハイを煽る。 しゅわしゅわとした炭酸と檸檬の爽やかな酸味が口の中をさっぱりと洗い流す。 焼き鳥も無くなって、缶チューハイも空にする。 パックをゴミ箱に捨てて、風呂の準備をする。 昨日は風呂でうたた寝して、結局あまり寝れず寝不足だから早めに休みたい。 ささっとシャワーを浴びて、髪を乾かすのもそこそこに布団に横になる。 寝不足な体は直ぐに意識を手放した。

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