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第6話

もやもやしたまま会社に向かう。 気がつけば、一日中もやもやしたまま気持ちのままで終業時刻だった。 定時で上がれるほど、仕事も進まずにいた俺は残業をするしかなく、同僚が皆帰って行く中、ぽつぽつと残って仕事をしている方々と同じように残った仕事を片付けていくのであった。 やっと終えた時には、定時から二時間ほど経っていて、二十時を回るところであった。 集中していたからか、周りの人がかけてくれたであろう声にも生返事をしていたようだ。 周りを見渡せば、もう誰も居なくなっていて自分の席の周辺は明かりがつけられているものの、フロア内は明かりがほぼ落とされていて、何となく薄気味が悪い。 手早くパソコンのデータをきちんと保存して、荷物を纏めると、上着とカバンを手に、戸締りと電気の確認をした後、会社を出て帰路についた。 時間が遅いからか、いつもより空いている電車に乗って席に座ると体の力を抜いた。 残業中にぎちっと集中したからかとても疲れた。 鞄を抱えたまま、体の力を抜いてぐたぁと背もたれに寄り掛かる。 乗り換えがあるのが面倒臭いが、乗り過ごして仕舞えば、遠くまで行ってしまうこの電車は次の電車に乗り換えるまでは絶対に根落ちるわけにはいかない。 それでも特に疲れた今日は眠気に負けて、かくり、かくりと頭が傾ぐ。 船を漕ぎはじめた意識の中で、唯一聞こえたのは、降りなければならない駅の一つ前だった。

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