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第一章・3

 もう一つ、大事なものを忘れてはならない都だ。  クラスの男子で一番背が低く、痩せてはいるが、Ωである都は最近体が火照ることがある。 「そろそろ、発情しそうな気がする……」  保健体育で習ったところによると、初めての発情を迎えると、後は定期的に発情期が訪れるという。 『そのまま放置しておくと、Ωフェロモンで性欲を抑えられなくなります』  そうならないためにも、発情抑制剤を飲んでフェロモンを抑えなければいけない。 「お薬、高いなあ。ネットで、ジェネリック売ってないかな?」  比較的安い薬を飲んで何とかごまかしつつ、都は便利屋の毎日を送っていた。

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