9 / 65

第一章・9

「兄ちゃん、お帰り!」 「ただいま~。あぁ、疲れた」  中学1年の弟に返事をし、都はそのままキッチンへ入った。  そこにはすでに、中学2年生の弟が立っている。 「あれ? お前、部活は?」 「辞めようかな、なんて思って」  何でだよ、と都は弟のジャガイモをひったくった。 「先輩に褒められた、って喜んでたじゃん!」 「うん……。でも、俺いっつも兄ちゃんに頼ってばかりだし」  身体まで売っている、とは知らないはずだ。  しかし、都は焦った。  焦ったし、悲しくなった。 「お前がそんなんで、兄ちゃん何のために頑張ってるんだよ。せめて、兄ちゃんの分まで部活やってくれよ!」

ともだちにシェアしよう!