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第一章・9
「兄ちゃん、お帰り!」
「ただいま~。あぁ、疲れた」
中学1年の弟に返事をし、都はそのままキッチンへ入った。
そこにはすでに、中学2年生の弟が立っている。
「あれ? お前、部活は?」
「辞めようかな、なんて思って」
何でだよ、と都は弟のジャガイモをひったくった。
「先輩に褒められた、って喜んでたじゃん!」
「うん……。でも、俺いっつも兄ちゃんに頼ってばかりだし」
身体まで売っている、とは知らないはずだ。
しかし、都は焦った。
焦ったし、悲しくなった。
「お前がそんなんで、兄ちゃん何のために頑張ってるんだよ。せめて、兄ちゃんの分まで部活やってくれよ!」
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