11 / 65

第二章 恋人契約

 ある日、都は放課後にクラスメイトの一人に呼び出された。 「何か用? 英語の宿題、さっさと済ませちゃいたいんだけど」  相手は、神谷 雄翔(かみや ゆうと)。  名家の嫡男で、富豪のお坊ちゃんだ。  しかも、優秀なαときている。  本人にその気はないかもしれないが、時折人を見下したような態度をとるこの少年が、都は苦手だった。  頭一つ分背の高い雄翔に、本当に見下ろされながら、都はそわそわと落ち着かなかった。 「今日は、いくら稼いだんだ? 何でも屋さん」 「何でそんなこと、訊くの」  やっぱり僕は、神谷くんが苦手。  別に、君には関係ないじゃん、と都はそこまでで雄翔に背を向けた。  その背に、雄翔の声が追ってきた。

ともだちにシェアしよう!