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第二章・4
「いいよ。僕、神谷くんの専属便利屋になって、恋人を演じてあげる」
「そうか! じゃあ、さっそく!」
雄翔はその場で、ポチ袋に入った札を渡してきた。
「さっそく、って。今から? もう、放課後だけど!?」
「いいんだ。『放課後にカフェでドリンクを楽しむ』というシチュエーションを楽しんでみたい」
「解った。じゃあ、行こう。雄翔」
「ゆ、雄翔!?」
「恋人なら、姓じゃなくて名で呼ぶでしょ。普通」
ふるふると震え、雄翔は感激している。
「家族以外に、名前で呼んでくれる存在がいるなんて……」
大げさだなぁ、と都は雄翔の手を取った。
「てッ、手を握る、とか!」
「恋人同士なら、手ぐらい握るでしょ」
さあ、とその手を引くが、雄翔は動かない。
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