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第三章 雨に濡れて

「今日は、『放課後、二人きりの教室で勉強する』というのを、やりたい」 「はいはい」  翌日、朝一番に雄翔は都にポチ袋を渡してきた。  受け取って中を改め、大切にポケットにしまう。  そこへ、宿題の回答を求めて友達がやって来た。 「夏目、物理4問頼む」  まいどあり~♪ と言おうとして、都は戸惑った。  僕は、雄翔の専属何でも屋になったんだった! 『便利屋は、俺一人に絞って欲しい。他の人間からの要望は、受けないでくれ』  雄翔も、こんなことを言ってたし……。 「はい、ノート。今日から、お金はいらないよ」 「いいのか?」 「うん」  これでいい? と言う風に、都は雄翔を見た。 「お金を受け取ってないんだから、便利屋じゃないよね」 「ああ、そうだな。ただ……」 「ただ?」 「いや、何でもない」  ふいっ、と雄翔は自分の席に戻ってしまった。

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