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第三章・3

 放課後、雄翔の希望通りに都は教室に残り、彼と二人きりで勉強をした。 「都、この『奈美子は雨に濡れるまま、傘もささずにただ歩いた』の気持ち、どう思う?」 「奈美子は、雨で自分の弱い心を流したかったんじゃないかな」 「なるほど。俺の考えとは、少し違うな」  国語の問題は、数学や物理と違って答えが一つではない。  どうしても解く人間の主観が入るので、そこが面白いところだ。 「奈美子は、雨で幸一への怒りを鎮めたかったんだ。消火作業だ」 「あぁ、そうか。それもあるかも」  二人、顔を見合わせて笑った。 「でもまぁ、これは正解向けの回答じゃないな。やっぱり都の意見が、正しいんだと思う」 「正解向けの回答、か。何だか切ないね」 「仕方のないことだよ」  切ないと言えば。  雄翔は、朝に都が友人に勉強を教えていた姿を思い出した。

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