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第三章・4

 都のあの姿を見て『切ない』と感じたんだ。 「なぜだろう」 「何?」  雄翔は、朝の自分の感情を素直に都に伝えた。 「なぜ俺は、切なくなったんだと思う?」 「そ、それは」  まさか雄翔、本気で僕のことを!? (いや、待てよ) 『下手な感情移入をせずに、恋人を演じてくれる人物が欲しいんだ』  こんなことを、雄翔は始めに言ってたっけ。 「たぶん、独占欲だよ。それって」 「独占欲」 「雄翔、小さい頃から何でも思い通りに手に入れてきたでしょう」 「よく知ってるな」 「お金持ちのお坊ちゃんだもん、想像つくよ。朝は、自分のもののはずの僕が、他人の手に渡ってたからムカついたんだよ。きっと」 「そうか……」

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