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第三章・5

 都の意見は、正論だ。  きっと、正解向けの回答だろう。 (でも、そう指摘されて、さらに切なくなるのはどうしてだ?)  俺は、お金持ちのお坊ちゃん。  自分のもののはずの、都。  都が他人の手に渡ってたから、ムカついた。  そういう風に都に見られていることが、やけに切ない。 「どうしたの?」 「あ、いや。何でもない」  勉強は、もうやめよう。  雄翔は、テキストを閉じた。  自分の心に沸いた切なさも、一緒に閉じ込んだ。

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