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第三章・8

「どうせ夏目は、俺のお下がりなんだ。それでよければ、せいぜい可愛がってやるんだな」 「どういう意味だ?」 「こいつ、一回5千円で身体売ってたんだぜ。俺なんか、3回も……」  その途端、雄翔は男子生徒の胸倉をつかんで締めあげた。 「……二度とその言葉、口にするな。もし言えば、この学校に居られなくしてやるぞ」 「ひッ!」  乱暴に襟から手を放し、雄翔は彼を睨みつけた。 「消えろ」  男子生徒は、後も見ずに廊下を駆けて行った。  一部始終を、都は見ていた。聞いていた。  足元が崩れ落ちるくらい、動揺していた。絶望していた。 (もうダメ。雄翔にバレた)  お坊ちゃんで潔癖なところのある彼は、僕をきっと許さないだろう。  軽蔑し、汚いものを見るような目で、ねめつけてくるだろう。  しかし、雄翔の声は柔らかかった。

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