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第三章・9
「都、大丈夫か?」
「え? 何で?」
「あんな卑怯者に……、好き放題言われて。一発殴った方がよかったかな」
「ぼ、暴力はよそうよ」
それより、と都は雄翔に恐る恐る訊いた。
「僕、便利屋クビになったりする?」
「なぜ?」
「だって……、僕は一回5千円で身体売ってたんだよ。嫌にならない?」
ならないよ、と雄翔は真っ直ぐな目で都を見てくれた。
「都は、何も悪くない。悪いのは、君の弱みに付け込んで買春してた奴らだ」
「雄翔」
「さ、もう帰ろう。何か奢るよ、何がいい?」
「マンゴージュース」
ぐすぐすと鼻をすする都の手を取って、雄翔は外へ出た。
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