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第四章・10
「ごめんね、エッチできなくて」
「え?」
「僕。僕の体、雄翔の言う通り、何か変なんだ」
Ωとしての発情が、間近だったこと。
体が火照り、薬を飲み始めていたこと。
お金目当てで他人に抱かれるようになってから、どんどん体の火照りが無くなっていったこと。
終いには、誰に抱かれても感じなくなってしまったこと。
「僕、不感症になっちゃったんだ」
ぽろぽろと涙をこぼす都を、雄翔は優しく抱いた。
長い腕で、柔らかく包み込んだ。
「辛かったんだな、都。俺、もっと早く都に手を差し伸べればよかった」
「雄翔のせいじゃ、ないよ」
「今夜は、もう寝よう」
「う、うぅ。うう、っく」
「泣いていいよ、都。我慢しないで、いっぱい泣いていいよ」
都は、雄翔にしがみついて泣いた。
泣いて泣いて泣き疲れて、眠ってしまうまで、泣いた。
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