39 / 65

第四章・10

「ごめんね、エッチできなくて」 「え?」 「僕。僕の体、雄翔の言う通り、何か変なんだ」  Ωとしての発情が、間近だったこと。  体が火照り、薬を飲み始めていたこと。  お金目当てで他人に抱かれるようになってから、どんどん体の火照りが無くなっていったこと。  終いには、誰に抱かれても感じなくなってしまったこと。 「僕、不感症になっちゃったんだ」  ぽろぽろと涙をこぼす都を、雄翔は優しく抱いた。  長い腕で、柔らかく包み込んだ。 「辛かったんだな、都。俺、もっと早く都に手を差し伸べればよかった」 「雄翔のせいじゃ、ないよ」 「今夜は、もう寝よう」 「う、うぅ。うう、っく」 「泣いていいよ、都。我慢しないで、いっぱい泣いていいよ」  都は、雄翔にしがみついて泣いた。  泣いて泣いて泣き疲れて、眠ってしまうまで、泣いた。

ともだちにシェアしよう!