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第五章 ホテル、行っちゃう?

 夏休み中も、毎日雄翔は都を誘った。  宿題をしたり、カフェに行ったり。  映画に、海に、ショッピング。  都の弟も誘って、バーベキューをしたりした。 「さあ、どんどん食べてくれ!」 「肉~! 美味い、肉~!」 「おい、ちょっとは遠慮しなよ」  いいんだよ、と雄翔は笑顔で肉を焼いている。 「でも、さっきから雄翔、焼いてばっかりじゃん。これ、食べて」  都は、皿に取った肉と野菜を、差し出した。 「ありがとう」 (これって、恋人っぽいよね。彼、喜ぶよね)  自分の言動ひとつひとつを振り返りながら、都は雄翔と付き合っていた。  それは擬似恋人の範疇を越え、自然な振る舞いとして身についていた。

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