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第五章・4
「ホテル、行っちゃう?」
ちょっと笑い目で、エッチな表情を作ってみた。
雄翔はそれに驚いた顔見せたが、次には眉を寄せて真剣な眼差しになった。
「都、平気? 体の方は、もういいのか?」
「え? えっとぉ。うん、大丈夫、と思う……」
幻滅して、僕のこと嫌いになると思ったのに!
そうと決まれば、と雄翔は都の手を引いて、タクシーに押し込んだ。
連れて行かれたのは、安いブティックホテルではなく、星のついた高級ホテルだった。
「雄翔、まさかココで……」
「気に入らないなら、別のホテルでもいいけど」
いや、ここでいいよ、と都は大人しくなってしまった。
(やっぱ、富豪じゃん。御曹司じゃん)
僕には、もったいない人なんだ。
エレベーターで階を上がりながら、都の足元はふわふわしていた。
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