63 / 65

第六章・14

「雄翔!」  悲しい涙が、嬉し涙に変わった。  ハンカチに顔を埋め、新しい涙をしみこませた。  雄翔の香りのするハンカチ。  都は、その香りを思いきり吸った。 「あ……!」 「どうした?」 「やばい」 「何が!?」  は、発情する!  今まで感じたことも無い感情が、強くせり上げてきた。 「ど、どうしよう。あぁ、何か、僕もうダメ!」  慌てる都に微笑むと、雄翔はゆっくり立ち上がった。  そして、長い腕で都を引き寄せ、広い胸に抱いた。 「これで少しは、落ち着く?」 「う、うん」  雄翔の胸って、こんなに深かったんだ……。  

ともだちにシェアしよう!