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終・迅雷上等! ─迅─②※
雷にメロメロな俺にはたまんねぇ殺し文句に、握った分身と心臓がドクンと脈打った。
「迅〜?」
「…………ッ」
熱くなった顔面を見られまいと、雷をころんとうつ伏せにしたのはいいが、女豹のポーズで振り返ってきやがってさらに煽られた。
これを全部、まるっと、すべて、無意識にやってのけるんだから参る。
「迅〜? どした〜? 早く早く〜」
「…………」
やめろ。急かすな。
無邪気と無防備の合わせ技を繰り出してくんじゃねぇ。
自分でもムスコのガチガチ具合に引いてんだ。てか言われなくても〝早く〟挿れたいに決まってんだろ。
でもガッツけねぇんだって。
これまで雷をいじりまくった後の抜きっこ大会で満足してた俺は、この据え膳状況でも〝挿れなくてOKかも〟と思っちまうガチ紳士に成り下がってる。
濁点付きの、ちっとも色気の無え声で「苦しい」って言うじゃん。それがまた可愛くてムリに挿れ込むと、切なく俺の名前呼ぶじゃん。
躊躇すんだよ。
こんなに、我を忘れそうなほど雷の全部に煽られるなんて思ってなくて、甘く見てたから。
余裕ぶってダセェったらありゃしない。
……マジでこんなの初めてだ。
「迅ー? なんで挿れねぇの? 後ろからヤりてぇって言ったの迅だろー? ほーら、雷にゃんのお尻が待ってるぞ〜」
コイツはコイツで、こうしてガンガン煽ってくるし。
今日が初体験のヤツに、女豹のポーズで「ぷりぷり〜♡」とケツを振りながら挑発された俺はどうすりゃいいの。
「……バカ。煽るな」
「ええッ? あ、ああ煽ってねぇやいッ! おしりムズムズすっから早く挿れろって言ってるだけ……ン゙ッッ!」
まだ何かピヨピヨ喋ってたが、問答無用だ。
華奢な背中を押して黙らせると、細え腰を持ち上げて両手でケツを開くなり、濡れたアナルに先端をグッと押し込んでみた。
「んくッ! ちょッ、迅……ッ! いきなりは……卑怯だ……ンンッ!」
紳士な王子様になんかなれるか。
散々煽りやがって。バカ雷にゃんめ。
これが欲しかったんだろうが。
「可愛いのも大概にしろ、バカ雷にゃん」
「んにゃァァッ!?」
ムズムズするって言ってたのはマジらしく、待ってましたとばかりに亀頭にキツくまとわりついてくるナカは、ちょっと例えようが無えくらい気持ちよかった。
とはいえ狭すぎる。締め付けがハンパ無え。
動きたくても、こんなにギチギチだと腰だけじゃムリだ。
「あッ……ダメッ! 腰持つな!」
雷のアナルは、遅漏なはずの俺をみこすり半でイかそうとする。根元まで埋めてねぇのに、脳ミソがぶっ飛びそうなくらい興奮する。
今までのヤリチン伝説なんかガチで何もアテにならねぇ。
性欲発散のためだけにヤってたセックスってもんの概念が、覆されたんだ。
……戸惑ってるよ。人並みに。
「あ゙ッ……! コラッ、迅! またガシガシ動く気だ……あぁッ!」
「当たり前だろ」
「ン゙ッ……ん゙にゃッ……!」
雷にしては察しが良かった。
雷の腰を持った俺は、浅いピストンを開始する。引っかかるから今挿れてる以上先にはいけねぇが、充分だった。
痛えくらいの締め付けがクセになりそうだ。
自分で〝桃尻〟と言うだけあって、雷のケツはぷりんぷりん。モチモチなそれを揉みながらの不自由なピストンも、悪くない。
「うッ……うぅッ……! はぅッ……!」
「これがバックだ。どう?」
「ど、どうって……!? どういう、うぅッ!」
「この方が楽?」
「ン゙ッ! ま、まぁ、たぶんッ?」
「たぶんか」
「ぐるじい」って言わねぇから、ちょっとだけ安心した。だが振り返りざまに首を傾げるという高等技術を、俺はどう受け止めりゃいいんだ。
軽く揺さぶる程度にしか動いてねぇのに、ほっぺた真っ赤になってて可愛かった。
小せえ体をくねらせて、俺の動きに合わせて呻いてる様はめちゃめちゃエロいと思った。
「たまんねぇな、雷にゃん」
「ふ、ン……ッ! ン゙ッ! んむぅッ……!」
「悪い。このまま一回イかせて」
「いッ!? うッ!? んぐぅ……ッ?」
いつもの高い啼き声もいいが、やっぱこの呻きもそそる。
雷の承諾は得てない。でも腰が勝手に動いた。
両手はガッチリ、細え腰をホールド。好きに突きまくるわけにいかねぇ制限されたピストンも、興奮を高めてる気がする。
「……ッ」
──あぁ……やべぇ……気持ちいい。
「迅……ッ、あッ! だめッ……ンな、ハードに動いたら……ッ、おれ壊れる……ンッ!」
うるせぇ。お前が一言喋る度にこっちは限界ギリギリなんだよ。
これでもソフトに動いて我慢してんだ。
俺のどこにこんな優しさあったんだろってくらい、めちゃめちゃ配慮してやってんだぞ。
アナル初体験じゃムリだと分かってても、〝俺と同じくらい気持ちよくなりやがれ〟と切実に願いながらキツいナカを犯した。
浅い挿抜でも、グチュッ、グチュッ、グチュッというやらしい音は響く。狭すぎるナカを擦るごとに、ソレと雷の声が大きくなった。
「ン゙ッ! ン゙ンッ……! ンッ……!」
「……雷にゃん、イってい?」
「い、いい、けど……あッ! ンなこと、聞かれても……うッ!」
「俺の名前、呼んでくんない?」
「へッ?」
唐突なお願いに、今度は耳まで真っ赤になった雷がじわりと振り返ってくる。
雷は必ず俺の名前を呼びながらイくだろ。些細なことだが、その叫びに近い掠れた声が俺は好きなんだ。
イく時はぜひそれが欲しい。
「ダメ?」
「いや……別にダメなわけじゃ……ッ! わ、分かった、呼べばいいんだなッ?」
「あぁ、頼む」
「ヒィッ……! おまッ、呼ばせる気、ねぇだろ……あぁッ♡」
若干ハードめに突くと、雷はそれどころじゃなくなった。
枕にしがみついてる華奢な腕に、血管が浮いている。雷もそれだけ必死だっつー事だ。
感じるまではいかなくても、今まさに俺に愛されてるって実感がコイツの心ン中で湧いてるといい。
この俺が何かを強請るなんて初めてなんだからな。
「だめッ……だめッ……! 迅ッ! ハードの上を、いくなッ……! うぁッ……♡」
「名前、もっと呼べ」
「あンッ♡ てめぇッ……! イケボすぎぃ……ッ」
「呼べっつの」
「あぁッ♡ 迅……ッ! 迅ッ、迅……! しゅきッ! 大しゅきッ! 迅……ッ!」
不意打ちの絶叫告白で、俺の心臓は鷲掴みにされてたちまち震えた。
「…………ッッ」
ついでに腰もぶるっと震えて、ナカに留まったまま堪えることなくゴム越しに欲を吐く。
些細なお願いが、とんでもなくデケェ想いになって返ってきた。
さすが、俺の想像のはるか斜め上をいく雷にゃん。
おかげさまでイくまでの最短記録、更新したわ。
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