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第二話(鈴視点)
Side 鈴
そんな朝のやり取りがありつつ、無事講義に遅刻することなく午前中の予定を終えた俺とめーちゃんは昼食をとるべく食堂へ向かった。
「あ、やっほーはづくん」
「りんりんやほやほー」
食堂について、ふらふらーと空いた席に向かっためーちゃんを横目に、周りを見渡せば、見知った背中をみつけたので思わず声をかける。
そうすれば相手も俺に気づいたのかこちらを振り返ってひらりと手を振ってこたえてくれた。
「も~聞いてよ、はづくん、めーちゃんってばまーた徹夜でゲームしてたんよ」
「ははは、めいめいらしいな~」
「笑い事ちゃうで、全く。俺が早めに気づいて起こしに行かなかったら2人とも遅刻確定やったわ」
「そこはめいめい1人じゃなくてりんりんも一緒に遅刻なんだね」
「え!だってめーちゃんを放っていくなんて俺にできるわけないやん!」
「相変わらず仲良いなー。で、そのご本人様のお姿が見えないのですが?」
「あー、めーちゃんはあちらに」
そう言って俺が視線を向けた方向へはづくんも同じように視線をやり、再びははっと小さく笑いを零した。
「ぐっすりじゃん」
「うん、よっぽど眠かったみたいで、席に着いた瞬間爆睡だよね、講義は一応頑張ってたんやけどね~。あ、それはそうと情報ありがとね、はづくん。学部も違うのにわざわざ教えてくれて」
「いやいや、たまたまデートしてた先輩がりんりんと同じ学部だったからそれとなーく聞いたら親切に教えてくれただけだし、全然気にしなくていいよ」
そう、笑って答えたはづくんに「ちなみに、」なんて言葉をかける。
「その日は何人の女の人とデートしていたのですか?」
「3、いや5人かな!」
「多いな!相変わらずすごいね~、何か逆に尊敬する」
「うん、俺女の子大好きだもん、可愛いし一緒にいて癒されるし、むさくるしい男とは大違い!あ、でもりんりんとめいめいは別だよ~何てったって2人とも男なのに一緒にいて癒されるし、変な因縁とかつけてきたりしないし~!可愛いし!」
「あはは、男に誉め言葉として可愛いとか癒されるとか言うのもどうかと思うけれどまぁ、嫌なわけやないし一応、ありがとうと言っておくわ」
「えーもっと素直に受け取ってよ、俺にしたら最大級の誉め言葉だよ!」
「はいはい、それにしてもそんだけ女の子大好きで、見た目もチャラいのに周りから呼ばれてる愛称がチャラ男紳士なんやもんなー、はづくん」
「うぐっ、何だかすごい不名誉なあだ名な気がする」
「チャラ男紳士ってあべこべやんな、初めて同じ学部の人がはづくんの事そう呼んでた時思わず吹き出してしもたもん」
「うぅ~、それはあんまり言わないでほしいかな」
そんな俺の言葉に、はづくんが小さく呻いて机に突っ伏す。
羽月詩音。(はづき しおん)
俺が大学に入って初めて出来た友人。
自ら公言するほどの女好きで、彼の近くには高い頻度で色んな女の子がいて、そんな女の子と日々、デートをしている。
見た目もいかにもチャラ男みたいな風貌で、ピアスなんかも結構空けており、一体何人もの女の子たちを泣かせてきたのだろうと考えてしまうような人物像をしているくせに蓋を開けてみればむしろ彼と関わった女の子達は笑顔になり、幸せな気分になると言うのだ。
そう、チャラ男紳士の「紳士」と言う言葉の通り彼のデートは女の子たちにとって理想的、らしい。
手をつなぐ以上の事は決してせず、彼女達の要望をしっかり取り入れ、スマートにエスコートし、最後まで幸せな、それこそお姫様にでもなったかのような錯覚を起こす扱いをしてくれる、と言うのは、はづくんと実際にデートに行った女の事から聞いた経験談だ。
そんなはづくんの事を大学では入学当初はあまり良く思っていない男子達で溢れていた。
女の子に囲まれ、色々な女の事デートを繰り返すはづくんの事を好ましく思わないのはまぁ、同性として当然なのかなぁとは理解できる。
まぁ俺は特に気にすることもなかったんやけどねー。
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