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十一話(芽季視点)
Side 芽季
「なぁなぁ、りんちゃん」
今日の講義が全て終わり、帰り支度を始めていたりんちゃんに声をかける。
「ん?」
俺の呼び掛けに動きを止めてこっちを向いてくれたりんちゃんに「あんな、」と言葉を放った。
「今日、久しぶりにサークルの方に顔出さん?」
「別に良いけど、めーちゃんから誘ってくるなんて珍しいね」
「いや、アレクさんが何や映画の引換券余分に貰ったからあげるよ~って」
「あぁ~なるほど!」
俺の言葉に納得したようにうんうん頷くりんちゃんに「それと、」と、言葉を続ける。
「昨日のプレイでの文句直接言いに言ったろ思って」
「昨日って言うか今朝でしょ……」
呆れたように言ってくるりんちゃんの視線は未だ、朝の出来事を非難しているように見えてそっと視線を逸らす。
そんな俺に仕方が無いなぁと、言うようにため息を吐いて、残りの片付けを済ませ教室を出ていくりんちゃんを追いかけドアをくぐる。
そうして先を歩くりんちゃんの隣に追いつけば俺の方をちらりと見て、りんちゃんが口を開いた。
「て言うか、アレクさんともゲームしてたんやね、めーちゃん。恩人さんとだけやなかったんや~」
「最初はアレクさんと二人でやっててん、そんでアレクさんが今日はハリーさんも仕事ないから久々に三人でやろうって話なってほんでテンション上がって徹夜してもたんよ」
「なるほどね~、でもびっくりだよね~まさか同じ大学のしかも入ろうと思ったサークルにめーちゃんのゲームのお友達がいたなんて」
「ほんまそれな」
そのりんちゃんの言葉に俺は一年前の新歓での出来事を思い出す。
◇◆◇
~一年前 春~
「アレクさん!?」
思わず出た俺の驚いた声に、振り返った人物は一瞬きょとん、とした顔をしたものの直ぐに満面の笑みで手を振りながらこちらに近づいてきた。
「あれ、さっくんじゃん、やほやほ~」
「いやいや、なんでここに!?
「んー同じ大学だったんだネ☆」
そう、ウィンク付きで答えるアレクさんにいや、そんな偶然ってほんまにあるもんなんやな~なんて、どこか他人事に思っていれば
「さっくん?」
やなんて一緒に新歓の会場に来ていたりんちゃんが戸惑いの声をあげる。
その声に答えるよりも先に俺達より前に来ていた羽月がりんちゃんへ声をかけた。
「んぁ、めいめいも先輩に知り合いいたんだね、りんりんも知ってる人?」
「いや、俺は知らないけど……めーちゃん、その人誰?」
羽月に対し首を振った後、俺の方を向きそんな質問をしてきたりんちゃんに先ほど答えようとしていた言葉をすんなりと口に出す。
「ゲームの知り合い」
「こないだオフ会した?」
「そうそう」
「君達、さっくんの友達かナ?ボクはアレクサンドル・ミハイローヴィチ・グリニコフ」
「アレ?アレクサンドル
「気軽にアレクさんって呼んでネ☆」
キラキラとした笑顔で言ったアレクさんに圧倒されながらもりんちゃんと羽月もお互いの自己紹介をし、そうして後からやって来た藤堂も交えて新歓を適度に楽しみその日はお開きとなった。
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