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十三話(芽季視点)
Side 芽季
いや~危うく限定パン売り切れるとこやったわ
丁度2つ残っててよかった~
俺とりんちゃんの分無事GETできたし、こないだ羽月からもろた菓子パンも買えたからこれでお返しできるし
まぁ思いの外混んでたから大分時間かかってしもたが次の講義はお互い無い言うてたしそない急いで帰らんでも大丈夫やな~
そんな事を考えながらりんちゃん達が待っているであろう教室へと足を進めていれば見知った人物の背中が目に入り、思わず声をかけていた。
「あ、アレクさんやん、こんな所で一人で何してるんですか?」
「ランチタイムだよ。この場所からは海が見えるからネ、お気に入りの場所なんダ☆」
「あ、ほんまですねー。今日は天気も良いから良い景色や~」
「ふふ、さっくんも一緒にどう?」
「有難いお誘いなんですけどやめときます、りんちゃん達待たせてるんで」
「宮くん達とランチか~君達本当に仲良いね」
「まぁ、なんだかんだ一緒にいますねー」
「時にさっくん」
そう、のんびりと話していたはずなのに突然アレクさんがまじめな顔をして俺の方を振り向いた。
「はい?」
「何でいつまでも敬語なの」
「えっ、一応、年上ですし世間的にも目上の先輩には敬語で話すんが常識ちゃいますのん」
「さっくん、世間体とか気にするんだ」
「アレクさん俺の事なんやと思ってるんすか」
「ハッハッハッ」
「笑っても誤魔化されませんよ」
「いや、でもさ、ゲーム内では普通にタメ語だよね」
「それはまぁ、ゲームの世界では年上年下関係ないですしね」
「じゃあ別に現実世界でも同じようにタメ語でよくない?」
「えぇ~いや、やっぱり後輩が先輩に対してタメ語使うのはあんまり周りがよく思わないんじゃ……」
「でもでもだってさっくんの敬語って何か変な感じするし、この1年間ずーっといつになったら敬語外してくれるのかなって思っていたのに全然外してくれないんだもん」
「変ってなんや、変って」
「ムズムズする」
「仮にも今年からアレクさんはESCの代表なったんやから俺がタメ語で喋ってたら周りにも示しつかへんのとちゃいますかね」
「うっ、じゃあ2人だけの時で良いから敬語外してよ」
「えー」
「だってだって、寂しい」
そう言って眉を下げて悲しそうな顔をするアレクさんの表情に思わず後ずさってしまう。
この人、外国の血が入ってるのもあって結構顔整ってんのよな……
なんでやろう、イケメンにこんな表情をさせている罪悪感が物凄く湧きあがってくる
「ダメかい?」
「うぅぅあぁぁ、わかりましたわかりましたわかったよ。だからそんな顔で見ないでください」
「さっくん大好き~」
「うわ、ちょ、急に抱き着くな!」
突然タックルするみたいに抱き着いてくるもんだからダイレクトに腰にダメージが来て思わずそう叫んだ次の瞬間
「め、めーちゃん、なんでアレクさんと抱き合ってるの?」
なんて声が聞こえて首だけ後ろに回そした俺の視界に映ったのは
「りんちゃん!?」
「あ、俺らお邪魔虫だったかな」
「いやいやいや、何変な勘違いしとんの!?そもそもなんでここに」
「めーちゃん、お昼買いに行ったっきり帰ってくるのが遅かったから迎えに来たんだけど来ない方が良かったかな」
「待って待ってりんちゃん、何がどうしてそうなるん!?そもそも俺もアレクさんも男やし、そんなりんちゃんが想像しているような感じの場面じゃないから!」
そう、必死に言葉を投げかけている俺に対し
「修羅場?」
「修羅場だね」
「めいめい最低!りんりんというものがありながら、その男誰よ!?」
「そーだそーだー」
なんて藤堂と羽月が言ってくる。
「あぁ、くそっ、藤堂も羽月も悪ノリすんな!お前らこう言う時だけ息ぴったりだな、仲良しか!」
「はぁぁ!?気色悪いこと言わないでくれますかー!誰がこんな女装男子と仲良いもんか!!」
「僕は別に仲が良いと思われてもよいけどね、無意味に突っかかられるより。と言うか、いちいち羽月くんって僕見かけるたびに絡んでくるけどはたから見れば僕の事大好きにも見えるよね」
「は……は、は、はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なななんなにいって!?」
「ちょっとうるさい」
「おま、おま、おまえが変なこと言うから!」
「はづくんどーどー、落ち着いて」
さっきまで俺とアレクさんを見て固まっていたりんちゃんが今にも暴れだしそうな羽月の腕を掴む。
そんな俺たちを見て
「ははははははは、本当に君達仲が良いな~見ていて微笑ましいゾ☆」
何て言ったアレクさんに「いや、このドタバタの原因あんたなんやけど」なんて呟いた俺の言葉は更に大きくなったアレクさんの笑い声に掻き消されて消えた。
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