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第33話

予想通り、戸張は俺の腰を掴むと一気に打ち付けて来た。 「あぁっ!」 仰け反る俺の髪の毛を掴み 「お前……、俺の前に誰かとヤッてたな?この淫乱!」 そう叫ばれ、俺は荒々しく打ち付けられながら 「戸張様の為に……準備して……ました…」 と答えた。 すると戸張は動きを止めて 「なんだって?」 そう言うと、怪訝な顔で俺を見下ろす。 「一目惚れって言ったら、笑いますか?」 恥じるように呟き、上半身を起こして唇に軽く触れる。 すると戸張は怒ったように 「嘘を言うな!お前みたいな完璧な男が、俺みたいな男に惚れる訳ないだろう!」 そう言って、頭を枕に押し付けて激しく腰を打ち付けて来た。 (でも……お前は俺の言葉を忘れられない) 荒々しく叩き付けられるだけの行為。 (さぁ、堕ちて来い。俺の手の中へ!) 「くぅ……!はぁっ……!」 戸張は自分の欲望をだけを満たす為だけに腰を振り、中で爆ぜた。 そして俺から引き抜くと、髪の毛を掴んで 「綺麗にしろ!」 と、今、爆ぜた戸張自身を顔に押し付けて来た。 俺が大人しく言う通りにすると、髪の毛を離してさっさとベッドから降りて衣類を身に付け始める。 俺はノロノロと身体を起こし、ベッドから降りてスーツに身を包んだ戸張の背中に頬を寄せた。 「又……会えますか?」 縋るような声で囁くと 「気が向いたらな……」 と答えて、戸張は部屋を去って行った。 アキラは戸張が去った後、慌てて部屋に入って来て俺の身体を心配していた。 洗面所で口をゆすぎ、小さく笑う俺に 「光輝、大丈夫か?」 心配そうにするアキラに 「あと2回」 そう呟いた。 「え?」 「あと2回で、あいつは堕ちる」 俺の呟きに、アキラは呆れた顔をした。 「あんな事されて、何言ってるんだよ!」 怒るアキラに 「試してるんだろう?この俺を」 そう言って俺は小さく笑う。 「望む所だ」 この日から、俺の戸張家崩壊のシナリオが始まる。

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